池辺市長に求める
人事制度の再構築と反省努力!
(2006.7.20.)
「地方公務員月報」平成18年1月号に、次のタイトルの記事が掲載されました。市民の一人として少し嬉しい気持で拝見しました。要約して紹介します。
[大見出し]
牛久市における勤務評定制度について
〜コンピテンシーを活用した人材育成〜
茨城県牛久市市長公室人材育成課
[勤務評定制度] 〜コンピテンシーを活用した人材育成〜
牛久市では「牛久市人材育成基本方針」の策定と、これまでに導入していた「勤務評定制度」に改正の必要性が生じ、平成14年度(大野喜男市長:当時)にそれらを同時並行的に実施しました。
当時のことを振り返ってみますと、まず、平成14年4月に行った機構改革によって市長部局に「政策審議室」が創設され、市長特命事項として新しい価値基準の下での人材づくりのための制度研究をスタートし、先進自治体の事例研究に着手するとともに、勤務評定の目的は何か、われわれの組織は勤務評定によって何を求めようとするのか・・・を徹底的に議論しました。
その結果、これからの勤務評定は“人事管理のツール”としての機能のみならず“人材育成に寄与するもの”でなければならないこと、そのための客観的な評価を実現するためには、コンピテンシー(注:行動特性)の考え方を取り入れなければならないという結論になり、これらの視点を基本原則として、次の方針などに基づいて制度設計を行いました。
「人材育成の基本方針」
@ 人権を尊重して市民と協働する意識を持った人材を育成する。(?)
A 広い視野と先例にとらわれない創造力を持った人材を育成する。
B 時代に即した市民の信頼に応えられる人材を育成する。
「市民から求められる職員像」
@ 市民の立場で行動する職員:
全体の奉仕者としての使命感と情熱を持ち、市民の立場に立った行動規範のもと、失敗を恐れることなく目標に向かって努力し実行する職員。
A 物事の本質を考える職員:
常に問題意識と変革への意識を持ちながら、自己研鑽と議論を通じて物事の本質を探究し続ける職員。
B 時代の変化を感じる職員:
社会環境の変化を敏感に察知しながら、真の市民ニーズに応える行政の役割を感じることができる職員。
さらに、@「部長・理事職」、A「課長・参事職」、B「副参事・主査職」、C「その他の一般職員」が階層別に求められる、役割と必要な能力を次のように示して、“必要な能力”と「新勤務評定制度」が評価対象とする“能力”をリンクさせることで人材育成の機能を持たせました。 [注:@とCを例示]
| 階層別に求められる役割 |
必要な能力 |
@ 部長・理事職
→ 部の統括者/市政の経営者
・市政全般に対する政策評価と政策議論に参画し、施政方針を実現する。
・自部門の政策課題に対して、組織力を最大限に 発揮させ政策遂行を実現する。 |
・ビジョンを策定し、変革を推進する能力
・政策決定する能力
・意思決定する能力
・人材を育成する能力 |
C その他の一般職員
→ 行政サービス活動の自立的推進者
・職務の遂行に必要な専門知識を有し、担当業務を性格かつ迅速に推進する。
・組織の一員として課の課題を認識し、その課題解決に向けて積極的に協力する。 |
・提案、提言する能力
・論理的に思考する能力
・建設的に議論する能力
・説明する能力
・自己開発する能力
・仕事の進捗を管理する能力
・情報を共有化できる能力
・折衝する能力 |
そして、それぞれの能力について“必要な能力”の定義を示しました。
この「勤務評定制度」の特徴は・・・
(1)能力の有無ではなく、行動の有無を評価するコンピテンシーの活用
(2)自己評価と面談指導の実施・・・です。[注:@とCを例示]
< 階層別の評定項目とコンピテンシー >

運用の状況と今後の課題
(1)運用の経過と顕在化した問題点
当初は、管理職員を対象に導入しました。一般職については平成15年度に試行し平成16年度から運用しました。被評価者の受け止め方は、@人材育成を前面に出したこと、A評価について自己申告すること、B評価者との直接面談で本人にフィードバックされることで、大きな混乱もなく運用されてきましたが、@評価が給与等に反映されなかったこと、A被評価者の部署や職種、職責、職務内容による違い、評価者による基準の微妙な差などの精度向上が必要でした。
(2)今後の問題点解決への取組み
人事院勧告で、勤務実績の給与等への反映が示されましたが結果によっては職員の士気を下げる諸刃の剣となりかねません。現在の人材育成を主目的とした評価制度から、新たに業務成績に対する評価を実施して、昇給や勤勉手当の成績率に反映されることになれば、不満や苦情がでることも予想されます。
今後は、職員への情報開示や苦情相談体制の整備など制度の点検を行うとともに、複数(課長・部長等)の評価者が評価調整することで、平準化に努めている現行制度を、より確実なものにするために評価者の育成・支援に取り組みながら、人材育成に業績評価という側面を加えた制度への転換を急がなければなりません。
評価の結果を、給与や昇任等へ反映できないようでは将来、評価制度が形骸化するであろうことは容易に推測できます。職員の意識改革を促し、公平構成で実効性のある制度として確立できるよう、引き続き努力する必要があります。
(公務員月報平成18年1月号を要約)
「牛久市勤勉手当に係る成績率導入について」
その結果、所得に反映させる人事制度として「牛久市勤勉手当に係る成績率導入について」が策定され、“本年6月期の期末手当(ボーナス)”は、A〜Gの7段階:特に優秀(A)、優秀(B)、やや優秀(C)、普通(D)、やや劣る(E)、劣る(F)、特に劣る(G)で評価した係数によって支給額を決めました。
チープ・ガバメント(安上がりな政府)を掲げて、経済合理性第一の行財政運営を行ってきた一環として、池辺市長が主張してきた“個人的成果主義”が導入されたものです。
JR東海会長/葛西敬之氏の考え方
「安全で正確な輸送に、日本型雇用は欠かせない!」
そのご意見を一部紹介します。「バブル期以降、終身雇用、年功序列型賃金といった雇用は崩壊したといわれる。また、その流れが正しいことのように主張する経済学者や経営者もいる。しかし、雇用形態というのは事業の内容と表裏一体のものである。
鉄道事業は、特殊な経験工学が必要とされる世界である。大学で基礎を学び、入社後に経験をつんで、鉄道という分野に特化した技術を身につける。
実力主義か学歴主義か、あるいは成果主義か年功主義か、という対比で物事を見る人がいる。ただ、数字で評価することのできない仕事、例えば管理部門の人たちにとって成果とは何か、多くの人がチームを組んで成果を上げるような職種や数量化が難しい業務の場合は、一人一人をどう評価するのかといった問題がある。
鉄道事業の現場には、さまざまな職種の人がいる。線路や車両、信号を保守する人、電力供給設備を維持する人、あるいは車掌、駅員、運転士もいる。そして、これらの人の力をあわせることで、列車を安全に走らせることができ、お客様の信頼が生れる。
車のセールスマンが何台売ったとか、保険のセールスマンが何件の契約を結んだといった業務は数量を持って成果とすることができるが、チームで仕事をする場合は、たとえ優秀な人間がいても、チームの和を乱すような場合、全体の成果としては下がるなど評価は難しい。そのような状況において単純な成果主義を無理やりにあてはめ、上司が査定することには意味がない。
経験をつんで技量が上がると、その人は後輩を教えることができるようになるし、いざというときにさまざまな経験に基づく判断ができるようになる。社員の持っている力は、経験年数に無関係ではない。学歴も同じことで、結果的に優秀な人材が重要な仕事をするのは自然である。だから、実力主義と学歴主義、成果主義と年功主義を対比させるのは、物事をよく理解していない人が、理解したフリをしているに過ぎない。
調和よりも競争、共存より淘汰、倹約より浪費、勤勉より怠惰、検挙より自己主張などということは、人類の歴史の中で20世紀後半だけを覆った価値の倒錯なのだと思う。そして今、アメリカも含めてその反省期に入ろうとしているのではないだろうか。」(注:中央公論より転載)
私は、いい加減な職員を擁護するつもりはありません。人事院の考え方も詳しく知りません。しかし、納税者・住民に公共的サービスを提供する市役所は、鉄道事業と似て、住民からは目に見えない仕事が多々あり、信頼関係に基づくチームワークが必要です。少なくとも“成績率評価制度”などは不適切なのだと考えています。もっとよく検討して、行政組織にふさわしい人事制度へとの再構築に取り組むべきものと考えています。
池辺市長に求めたい“反省”と“努力”
まず、職員に成果主義を導入する前に、市長自身が反省していただかねばならないこと、そして、努力して改めねばならないことを指摘します。
議会の一般質問は、執行部が質問内容を事前に詳しく知らせるように求めています。しかし、市長を中心に庁議で確認した原稿を読み上げる答弁では都合の悪いことに答えません。これが象徴する“不誠実さの反省”を求めます。
財政改革を第一としていることは承知していますが、一貫性のない朝令暮改や職員への激しい感情的叱責等々は、市長の性格的な偏りに起因すると思われます。市長に睨まれたら「税の滞納整理係」や「草刈要員」に飛ばされるといった恣意的な人事もあります。賢い人間は「脅しと餌」では本気になりません。
職員を自らやる気にさせなければ、行財政改革など幻想です。このまま池辺主義が続いて、市役所の人間関係がさらに悪化し、経験を積んだ人の早期退職によって、行政知識が適切に継承されるのか不安があります。
最後に、市長に改めていただかねばならない点を率直に列記します。
@権限を振りかざすこと、A部下を怒鳴ること、B発言に責任を感じないこと、C他人の意見を聴かないこと、D好き嫌いで人事を行うこと、等々です。
池辺市長は市民の代表者です。“品位”を問われかねない言動の原因となっている、性格的な偏りの治療に“最大限の努力”を求めます。