私たち市議会議員には、「全国市議会旬報」という全国市議会議長会が発行する情報誌があります。今年10月25日号には、8月23日に開かれた全国市議会議長会の都市行政問題研究会総会における、辻山幸宣・地方自治総合研究所主任研究員の講演「分権時代における議会のあり方」の要約されたものが掲載されていました。
議員のあるべき姿に触れた一部を引用します。『議会は市長の提案にうなずくだけの機関だったのか、という自問自答がある。(中略)提案された議案が今の要請に応えているかどうかを吟味し、だめなら質問して修正を求める。おおむね良いと考えたときに賛成という行動をとる。賛成という行動そのものも立法行為。立法行為とは条文案を書くことだけではない。出された立法案が賛同に値すると判断して、住民意思の代表権を行使する。これは立派な立法行為である。問題なのは何も考えずに「いいだろう」と言っているかどうかだ。』
残念なことに、牛久市議会にピッタリと当てはまることです。
さる9月30日に閉会した定例市議会に上程された、『牛久市企業誘致条例』及び『牛久自然観察の森の設置と管理に関する条例』の条例案がありましたが、極めて不十分な審査によって、共に原案どおり可決されました。
みなさんに問題提起させていただきますので、私の主張に対する批判・異論を含めてご意見をいただければ幸いと考えております。
まず、『牛久市企業誘致条例案』の提案内容の要旨を説明します。
第1条(目的) この条例は、牛久市における企業の立地を促進することにより、産業構造の多角化及び雇用機会の拡大を図るため、市内に事業所等を新設又は増設するものに対し、奨励措置を講じ、もって本市経済の健全な発展に寄与することを目的とする・・・という目的を掲げて・・・
(1) 対象地域の拡大:奥原工業団地内の茨城県開発公社所有地に限定していたものを、牛久市内全域に拡大する。
(2) 対象企業の拡大:製造業に限っていたものを、投下固定資産の基準を定めて、事業所、工場、店舗等に対象事業を拡げる。
(3) 奨励措置の拡充:取得した固定資産などに対する報奨金として、賦課された固定資産税及び都市計画税の返還比率を、100分の70から100分の100にする。
(4) 条例期間の延長:平成17年10月1日〜平成24年9月25日の約7年間とする・・・などを骨子としています。
私は議案質疑において次のことを指摘して、万一、調査不十分な議員がいても問題点を整理し易くなるように、基本認識を共有することに努めました。
Q1. 全体に表現を明確化する必要がある。奨励措置も「賦課される固定資産税及び都市計画税に相当する額の範囲内において奨励金を交付することができる」としているが、「施設設置報奨金は、納付した税の相当額」と明示したほうがよい。
Q2. この条例の奨励措置では、関東一円の企業誘致条例と比較して魅力的なアピール力がない。施設設置報奨金の他にも、雇用促進奨励金、緑地設置奨励金、用地取得奨励金などを設けなければ誘致競争に勝てない。
Q3. 「雇用機会の拡大」を図るためには、具体的に「市民の雇用人数何人以上なら奨励金○○万円」などとしなければならない。新しい企業を本当に誘致したいなら、体裁だけでなく、選ぶ相手の立場で考えなければならない。
Q4. 奨励地域を市内全域に拡大するにしても、まちづくりの視点を明確にしてA地区、B地区、C地区などと分割・指定し、早期誘致を望むところは、別格扱いの好条件にすべきではないか。
Q5. 条例全部を改正する条例案なのだから、この議案審査を求めるためには、規則も併せて提出するべきではないのか。(注:提出されなかった)
Q6. 条例期間の約7年間は永すぎる。牛久市と他地域を比較検討する企業があったとき、牛久市への進出検討が二の次になる。条例期間は3年程度にし、必要があれば延長することが適当なのではないか。
この議案質疑における答弁では・・・
市長は『牛久市は選ぶ立場ではない、選ばれる立場だ。つくば市や龍ヶ崎市より遅れている。両市では固定資産税及び都市計画税を100%免除(注:牛久市は一旦納入した税を奨励金として支払う)である』と議会答弁の中で発言しています。
担当部長は『雇用を条件にしては足かせになる』などと、雇用機会の拡大をいいながら、その奨励措置を入れるべきだという指摘が理解できない有様で、すべての質問に対する答弁は、このように答えになっていませんでした。
市長発言を素直に聞けば、『私の指摘・提案を認めているように思われる』のですが、実際は何一つ提案を受け入れないまま、審議は続けられました。議会最終日の採決前に行う、賛否の討論において次のような【反対討論】を行いましたが、採決結果は、市長提案への『 反対4:賛成17 』可決でした。
極めて不本意であり残念でありますが、今後とも、機能する条例にできるように努めてまいります。
『牛久自然観察の森設置及び管理に関する条例案』の提案要旨を説明します
これは、指定管理者制度を導入するために行う条例改正です。
第4条(指定管理者による管理) 自然観察の森の管理は、特定非営利活動促進法第2条第2項に規定する特定非営利活動法人であって、自然環境の保全及び調査等に関し市内において実績を有するもののうちから、市長が認定するものに行わせる・・・などとされています。
私は議案質疑において次のことを指摘して、万一、調査不十分な議員がいても問題点を整理し易くなるように、基本認識を共有することに努めました。
Q1. 「市長は、前項の規定により指定管理者により指定管理者の指定するときは公募するものとする」とあるが、公募したときに複数の応募者がない場合においては、無条件で決定するのか。
Q2. 「NPOで、自然環境の保全及び調査等に関し市内において実績を有するもの」とある。指定管理者を市内のものに委ねることは望ましいと思うが、品質の確保及び向上並びにコスト適正化を担保するためには競争原理が必要だ。市内限定とせず、規則において同等の内容のときは市内のものを優先するとすることが妥当ではないか。
Q3. 第6条は、指定管理者の管理期間を5年間としているが、委託業務においては契約内容の見直しの必要性も発生する。原則3年間が妥当と思うが、3年間に変更すべきではないか。
Q4. したがって、契約内容の見直しに関する条項を追加すべきではないか。Q5. 第21条(委任)「この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は規則で定める」とある。規則も審査資料として議会に提出すべきではないか。(注:提出されなかった)
Q6. NPO法人「うしく里山の会」は今年度の受託実績がある。本条例改正案が可決されれば同会に決まりそうだとの新聞報道もある。それ以外のNPOが応募してくる可能性はあるか。
Q7. 「牛久市情報公開条例」では、指定管理者は情報公開の対象外になる。この条例改正案では、情報公開条例の改正に触れていないがどうするのか伺う。民主主義では情報公開が前提条件だと考える。
この議案質疑における答弁では・・・
市長は『自然観察の森の指定管理者は、公募には合わない。情報公開については、情報公開審査会の答申を得てから対処する』と答弁しました。
(注:その他には明確な答弁や説明はありません)
市長発言は妥当なものと私も共感するところですが、それならば何故、公募する条例提案なのでしょうか。これでは論理矛盾・支離滅裂な提案です。
議会最終日の採決前に行う、賛否の討論において次のような【反対討論】を行いましたが、採決結果は、市長提案への『 反対5:賛成16 』可決でした。
極めて不本意であり残念でありますが、今後とも、機能する条例にできるように努めてまいります。