大谷まさひこ(議会)討論
「討論」とは・・・
議会の生命線ともいうべきものです。議員の思想・信条に基づく価値観が表現されることになります。 市議会には、市長提出議案(予算案・補正予算案、条例の制定・改正案及び人事案など)や、議員提出議案(予算修正案、条例改正案、意見書など)及び市民等が提出した請願などが本会議に上程され、提案者から提案理由の説明が行われます。議案に対する質疑を経て、基本的に4つの常任委員会に分割付託されて委員会審査を行い、本会議に各委員長より審査結果(委員会としての可否の結論)が報告されます。
その後、委員長報告に対する質疑を行い、議案の可否を決める採決の前に、「議案に反対する意見」、「議案に賛成する意見」を討論として交互に表明します。議会の本義は、討論の応酬によって適正な結論を求めていくところにあると考えますが、現実は形骸化しています。
市長と議会の馴れ合いが進むと、重要な議案に反対討論が行われれば、当然、賛成の議員が賛成討論をするところが、賛成討論もなく賛成多数という採決結果が見られます。
議案第11号、第12号、第13号に対する賛成討論を申し上げます。
いま世上を騒がせている『大阪市』は、11年間に公費340億円を投入した「ヤミ年金」や公費全額負担による団体生命保険への加入、給料などと二重取りが指摘される特殊勤務手当てを年間56億円、職員に約3億円5000万円かけてスーツを支給するなど一連の職員厚遇事件が発覚したことから、大平光代助役も『市民感覚から程遠い』との発言をしています。
牛久市においては、幸いここまでメチャクチャな労使なれ合いはありませんでした。が、給与の二重支払いとの疑惑を呼んでいる特殊勤務手当てはありました。しかし、牛久市互助会は、平成16年度には580万円の交付金を受けていましたが、平成17年度は自発的に交付金を辞退されゼロなのであります。大変うれしく衷心より敬意を表するものであります。
議案第11号は、今後の任期付職員採用への対応を機にして提出された任期付職員の勤務時間等を定めるとともに、新規採用の職員の年次有給休暇を改正することが盛り込まれております。この条例改正案は、通告だけで労働条件が改悪されようとしているという職員組合の抗議をよそに上程されました。このことは、職員の勤労意欲を阻害するのではないかとの不安を感じるとともに、極めて遺憾に思うところであります。
しかし、その内容を見れば従来では1年目は15日、2年目から20日の年次有給休暇を与えることになっていたところを、1年目は12日、2年目は14日、それ以降は2日ずつ増やして、5年目に20日とすることに改めるものなのです。
労働基準法に定める年次有給休暇は・・・
継続勤務日数 |
6ヶ月 |
1年6ヶ月 |
2年6ヶ月 |
3年6ヶ月 |
4年6ヶ月 |
5年6ヶ月 |
6年6ヶ月 |
付与日数 |
10日 |
11日 |
12日 |
14日 |
16日 |
18日 |
20日 |
上表のとおり、6年6ヶ月勤続してはじめて20日になっています。
これを職員組合は受容しておりませんが、世間に閉塞感が強くただよう今日、公務員の処遇については各種の指摘や批判が噴出して、国家公務員の全国的な給与見直しの嵐とともに、全国の地方自治体にも吹き荒れているところでもあります。
団体交渉によって積み重ねてきた既得権益を失うことに、職員組合が反発することは当然のことと理解いたしますが、放置されてきた公務員法その他の法律に内在する矛盾に、牛久市だけで対処することは不可能であります。時代の潮流ともいうべき変化を、意識しないわけにはいきません。
民間企業の文化風土も大きく変わりました。私たちは、良くも悪くもこの時代変化に順応しなければ、歴史が証明するように、如何に強い種といえども一気に淘汰されることでしょう。牛久市のサラリーマンのみなさんは、納得できる・納得できないに関係なく、無条件に現実を受け入れて暮らしていらっしゃいます。
こうして暮らしている納税者のみなさんに、有給休暇付与条例へのご意見を伺えば、当然のことと諸手を上げて賛同なさいます。私ども市議会議員は、納税者の厳しい視線に基づいて判断することを求められているのではないでしょうか。
議案第11号の改正が行われても、現在の職員のみなさんは対象外であり、対象となるのは新規採用される職員だけであります。さらに、改正されてもなお民間企業に勤務されている多くの牛久市の納税者のみなさんよりも、優遇された年次有給休暇の付与であることを私どもは認識しなければなりません。
議案第12号も、職員組合との協議が未調整のまま議案として上程されました。その主たる内容は、職員の昇給停止年齢を現在の58歳から55歳に引き下げるというものであります。時代背景としては、国は平成11年から55歳となり、茨城県も
4月1日から昇給停止は55歳になるのであります。
民間企業の動向をよく見れば、55歳昇給停止はすでに一般化し、一部では49歳まで年令の引き下げが進んでいることは、みなさんご承知の通りであります。待ったなしに迫っている三位一体改革という、国の財政措置に対応する財政体質への大変革が求められている今日、市民の代理者である私ども市議会議員は、たとえ職員のみなさんから不信感を買うことがあろうとも、毅然として選良の見識を示さなければなりません。
議案第13号は、特殊勤務手当てを三種類だけ残して、それ以外は当分の間支給しないとする条例改正です。この条例についても、職員組合との合意には至っていないようでありますが、総務常任委員会は全会一致で可決されました。この採決結果を支持いたします。
職員組合のみなさんにとっては、厳しい待遇改悪かもしれませんが、中間管理職のみなさんにとっても苦しい決断であろうとおもんばかるばかりです。
市議会議員にとっても悩ましい判断ではありますが、これら三件の条例改正は私たちのオーナー=雇用者であります納税者のみなさんの立場から思惟すれば、当然のものであることは明々白々であります。
大阪市でも、実態を知った市民の怒りや批判を放置できなくなり平成17年度予算編成において従来の“労使なれ合い”を一転させ、労組と合意している約111億円を大きく上回る、労使合意を得ない特殊勤務手当ての廃止などを含む『約166億円』に及ぶ削減案を作成して議会に提出したそうであります。
市長は、市民に全体的な行政執行権を委任されております。私ども市議会は、市民のための行政が守られるように厳格な議案審査及び行政チェックが期待され、万一、市長の行政執行に暴走があればそれを抑止することを含めて議決権が付与されております
。
さらに、執行部に任せきりにせず、政策立案することも期待され市民から選任されている22名であります。
このチェックアンドバランスが求められる、二元代表制のもとに選出されている私たちリーダーは、納税者のみなさんの負託に応えて、納税者の意向に基づいて、牛久市の未来を展望していく責任があるものと考えております。
民主主義政治に支配者はいません。 当然、牛久市にも支配者はおりません。
牛久市は、納税者のみなさんに依頼されて行政事務を行う職員のみなさんと、職員が烏合の衆にならないようにマネージャー役で監督する市長が選任され、そして監査役的な任務とともに必要に応じて市長を補完させるために、私ども市議会を置いているのであります。
すべては納税者・市民が起点であり、行政にかかわる職員も市長も私たち市議会も、全員が納税者に雇用されていることを忘れてはなりません。
様々なご意見、そして様々なご判断があろうかと存じますが、私たち市議会議員は、愚直に市民の代理者として、市民の視点という立場で判断し議決することを、納税者のみなさんから求められているのであります。
議案第11号及び議案第12号は、総務常任委員会においては賛成少数で否決されておりますが、ここで二条例は否決が相当とのご判断を示された委員の方々に、しばらく我慢してお聞きいただきたいと思います。
今年3月1日づけ「条例の制定、改定等(案)についての概要説明」が広報紙と共に市民に配布されました。これは良いことと大好評であります。情報の共有化により市民と市議会の距離が近づいて、関心を惹起した結果になりました。私がご意見をお聞きした方々の全員が、当然のこと大賛成です・・・とのことでありました。
次に、私の意見を若干お聞きいただきたいのであります。いま私はとても困惑しております。それは、市民のみなさんが可決を当然と思っている議案が、総務常任委員会で否決されてしまったからであります。その理由を知りたくて、塚本常任委員長の許可をいただき、総務常任委員会の録音テープを聞かせていただきました。
私が聞き取った限りでは、議案第11号及び議案第12号に関しては、@組合との話し合いが決裂のままで議会に提案しては職員との信頼関係を損なうこと、A近隣の自治体が何処もやっていないのに、何故そんなに急ぐ必要があるのか・・・主として、この二点に集約されるのではないかと思いました。
誤解を恐れずに申し上げれば、これらの指摘は本質論ではありません。しかし確かにご指摘の第一は、決して好ましいことではありません。市長と職員組合の相互不信は、市民にとって何もいいことはありませんから、市長には反省をしていただきたいのであります。
しかし、地方公務員法は職員のみなさんを守るものでもあり、今回の議案上程は違法行為でも何でもありません。組合員職員のみなさんは既得権益を失うことに強い反発をもたれることは十分理解いたしますが、労使協議の合意と議案上程との関係について考えれば、単なる手続論の世界でありまして、議案内容の是非とは次元を異にするものであります。私が考察するところでは、手続不足論を根拠にして議会が導き出すことができる結論は、せいぜい『組合との誠実な再協議が終るまで判断を保留する』という継続審査までであろうと考えています。否決という結論は、私には青天の霹靂であります。
もう一つ私が当惑している点は、3月22日の総務常任委員会は、市長が議会に求めている、条例の中身の是非に関して全く判断を示さないまま、手続論に基づいて否決しているということであります。委員会中心主義の議会運営にあって、常任委員会の結論をできるだけ尊重したいのではありますが、正面から上程議案を審査していない委員会審査結果を、どのように受け止めればよろしいのでしょうか。総務常任委員会を傍聴させていただいた私が、感じたままのことを率直に述べさせていただきました。
地方公務員法には次のような規定もありますので、職員組合のみなさんにもよく熟読玩味していただきたいと考えまして、二条ほど紹介いたします。
(情勢適応の原則)第14条:地方公共団体は、この法律に基づいて定められた給与、勤務時間その他の勤務条件が社会一般の情勢に適応するように、随時、適当な措置を講じなければならない。
これは自治体の努力義務として規定されておりますから、議案第11号及び議案第12号の提案は、地方公務員法に基づく当然の行為でもあります。
(服務の根本基準)第30条:すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当たっては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。
このようにも規定されています。この地方公務員法の思想は、既得権の擁護という観点とは、いささか異次元で相容れないものではないでしょうかす。
この場を借りて市長に一言申し上げます。過日の議案質疑における根本助役のご答弁に『執行部の一致団結』という下りがありました。執行部のみなさんの一致団結は、円滑な行政を行うために極めて重要であります。しかし、それは三役だけでなく通常業務を行う全職員が一致団結してこそ、納税者に応えることができるものと考えます。
市長は、全職員が一致団結して納税者に奉仕する市役所の構築をお考えのことと拝察しておりますので、ぜひとも職員組合のみなさんとも誠実な話し合いを持つべきなのであります。市長の素直さと誠実さが、牛久市を混乱から新たな発展へと飛躍させるための、キーワードになるものと信じております。池辺市長は、素直で誠実な方だなぁーと市民はもとより、職員のみなさんからも言われるようになることを期待申し上げます。
「君子豹変す」という言葉がございます。優れたリーダーは誤りに気づいたら、直ちに改めるという意味であることは、みなさんご存知のとおりであります。
賢明なる議員諸兄におかれましては、市民を起点にして結論を得るべきであるという本討論の趣旨をお汲み取りくださり、議案第11号、議案第12号及び議案第13号の条例改正案の可決成立に、ご賛同いただけますようお願い申し上げまして私の賛成討論を終ります。
【採決結果】 |
議案第11号 |
賛成少数(8:13) |
否決
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議案第12号 |
賛成少数(8:13) |
否決
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議案第13号 |
賛成多数(16:5) |
可決
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